17 全高P第 42 号
平成 17 年 7 月 28 日
中央教育審議会義務教育特別部会長
鳥 居 泰 彦 殿
(社)全国高等学校PTA連合会
会 長 藤 井 久 丈
「今後の我が国の義務教育の在り方について」への意見
標記の件につき、当連合会として、以下の意見を述べます。
1 義務教育費国庫負担制度の堅持を
天然資源には乏しくも、国民の豊かな知的資源を活用して 21 世紀の国際社会に羽ばたこうとしている日本国において、「義務教育は、国全体を通じての最重要事項であり、全ての予算において最優先すべき経費である」ことは、全国民の共通認識である。
教育の機会均等、水準確保、無償制といった義務教育の根幹は、国がその責務として担保する必要がある。教育費の地域間格差はあってはならない。義務教育費国庫負担金の一般財源化によって、教育の質の維持・向上、財源確保の確実性、地方の自由度の拡大が一層保証されうるのだろうか。本来義務教育費は、来年から実施されるイギリスのように全額国庫負担とすべきだが、少なくとも、人件費のうち中核をなす給料と諸手当については、その2分の1を根幹としつつ、国が総額を確保した上で地方の裁量を拡大する「総額裁量性」を今後も推し進めていただきたい。
2 義務教育における学校選択制拡大には地域性への配慮を
子どもは、地域に生まれ、地域に育ち、地域に育てられる。今、その地域の教育力や安全性、あるいは家庭の教育力の低下が叫ばれ、その回復を求められている中で、いたずらに義務教育の学校選択制を強調することは、地域と学校、家庭と学校との繋がりをますます弱めていく恐れがあるのではないだろうか。子どもや親のさまざまなニーズを大事し弾力的な対応が可能になったことは評価できるが、単に親のエゴや進学実績などで特定校へ集中するような現象は避けるべきである。
3.学校における性教育の充実を
平成 16 年度、本連合会は子どもたちをエイズや性感染症あるいは望まない妊娠から守り、子どもたちに「性」の問題は「生」の問題であることを正しく理解させる一助として、全国1万人の高校生を対象とした性に関する意識・実態調査を行った。
この調査によると、性経験率は、高校1年生で 1 〜 2 割、高校2年生で 2 〜 3 割、高校 3 年生で 3 〜 4 割にも達しており、しかも始めてのセックス経験が中学2年生から急増している実態が明らかになった。しかし、多くの生徒が事後に後悔や疑念を感じたことも報告されており、子どもたちがマスコミや、インターネット、携帯等をとおして過剰な性情報に曝されて、性関係を急かされている状況が示唆された。また、自分自身が性感染症に感染するリスクを全く感じていない子どもほど性関係を容認する傾向にあることも判った。
性教育に関して、一部では熱心に取り組まれているが、全体的にはその指導目的や方法が多種多様で、子どもや保護者にかならずしも納得した形で受け入れられていない。
子どもたちの現状および心身の発達段階や行動段階、さらには地域性を十分に配慮した適切な性教育が実施されることを希望する。
4.多様な人材の学校教育への積極的な活用を
「総合的な学習の時間」に、地域の人々が積極的に活用されるようになったことは、大変好ましい状況であるが、その他の授業や行事等への参加はあまり広まっていない。地域には、学校教育に協力したいと思う保護者、退職者、大学生、ボランティア等さまざまな隠れた、優れた人材が存在している。
登下校をはじめとする安全性への協力、特別支援を必要とする子どもへのサポート、国際理解教育への支援等、学校が保護者や地域住民の活用を積極的に推し進めることができる態勢を確立していただきたい。
5.義務教育段階から体験活動をとおしたキャリア教育の推進を
今やフリーターが約 200 万人、ニートが約 60 万人にも達すると言われている。少子高齢化の社会で、この若者の現状は看過できない。多くの人々が、子どもたちに義務教育段階から将来の職業や生き方について指導を行う必要性を痛感しているが、その際大切なことは、子どもたちにできるだけ多くの体験活動をさせることではないだろうか。
授業での実験・実習、部活動、自然体験、職場体験、就業体験、奉仕体験などを組織的、計画的に推進する必要がある。それらの活動を通して、子どもたちは多くの感動体験を味わいながら、自分の生き方や適性、働くことの意義を学んで行くであろう。
全ての子どもたちがこれらの体験活動に参加できる予算措置、及び学校、家庭、地域、関連機関との連携と具体的な運営組織作りを希望する。